実例紹介
家族を守る耐火建築物と省令準耐火構造。火災保険料軽減等のメリット!
2021.07.30
火災保険の契約時など、構造級別を判定する際によく目にするのが「省令準耐火」や「準耐火」です。この2つは似たものだと思われている人も多いようですが、実はまったくの別物だということをご存知でしょうか。
今回はそんな2つの耐火構造の違いを建築的な視点と火災保険の視点から解説していきます。
【省令準耐火と準耐火の構造的な違い】
建物の耐火性や防火性は主に「耐火構造・準耐火構造・防火構造」という3つのグレードがあります。
この中で省令準耐火構造に近いものが防火構造です。防火構造はどんなものなにでしょうか?
■耐火構造
鉄筋コンクリート造やレンガ造りなどの耐火性にもっとも優れた構造の建築物を耐火構造と言います。
国土交通大臣が定めた規定(建築基準法)に適合しているもの、または認定を受けていることが条件となり、火災になっても1時間以上の耐久性があるのもが耐火構造として認められます。
この構造で重要なポイントは「火災が終了するまでの間、建築物が倒壊することや延焼を防止するための耐火性能がある」という点。
簡単にいうと、火事になっても倒れないということが条件ということですね。
■準耐火構造
国土交通大臣が建築基準法で定めた構造であることと、火災後45分以上の耐久性があることが条件です。
耐火構造の条件では倒れないことも入っていましたが、準耐火の場合は「延焼を抑制する」ということが条件になります。
■防火構造
最後の防火構造は、火事が燃え移らないようにしてある構造であるかどうかがポイントになります。
要は隣が火事になっても、もらい火をしないような構造になっているかです。
もらい火をしない構造とは、軒裏や外壁などが鉄鋼モルタル塗りや漆喰塗などの燃えにくい材料で造られていて30分は燃えない防火性能があることが条件となります。
■省令準耐火構造
省令準耐火構造と上記の耐火・準耐火・防火構造の決定的な違いは、建築基準法に定められたものではないという点がまず大きな違いです。
省令準耐火は、「住宅金融支援機構」の定めた基準に適合した構造であり、加えて準耐火構造に準ずる防火性能をもつ構造であるとされています。
したがって、「耐火」とつくものの、省令準耐火構造は防火構造に近い構造なのです。防火構造が外の火事が燃え移らない構造になっているのと同じように、その構造が各部屋に設置されているのが省令準耐火構造となります。
つまり、ひとつの部屋から出火しても、他部屋に燃え移らないような構造を持っていて、他部屋への延焼を防ぐというのが省令準耐火構造です!
【省令準耐火構造のデメリット】
省令準耐火構造に適合させるために様々な要件を満たさなければならないことがあげられます。そのぶんコストもかかります。既存の木造住宅のプランで進めていた場合は、仕様変更のための追加料金を取られる場合もあるかもしれません。
【火災に強い住宅は火災保険料が割安になる】
省令準耐火構造の住宅は、通常の木造住宅とくらべて火災保険料が割安になります。その際のポイントがあるんです!!!
◆火災保険の構造級別って?
火災保険の保険料は、建物の構造によって燃えにくさなどに差があるため、構造ごとに価値が異なっています。構造級別とはこの建物による違いのことです。住宅の構造級別は以下の3つにわけられます。
・M構造:マンション構造
・T構造:耐火構造
・H構造:非耐火構造
省令準耐火構造の火災保険料はどうなる??????
省令準耐火構造の住宅は「T構造」とみなされます。T構造はコンクリート造、コンクリートブロック造などと同じT構造です、一方、通常木造住宅は「H構造」となります。
火災保険の保険料は保険会社ごとに異なりますが、木造の一戸建て住宅(H構造からT構造になると)で半額程度になるのです。
木造住宅を建てる際、「省令準耐火構造」にすれば火災保険を抑えることができます。
耐火性アップの工事のお金はかかりますが、一戸建てを所有するなら火災保険の加入はほぼ必須です。
省令準耐火住宅にすると火災にも強くなりますし、いろいろな面から考えて、省令準耐火住宅にするかどうかも考えてみてくださいね♪